情報処理技術者試験(SC, ES, ST, SA)の変更について
2022年12月20日、IPAより情報処理安全確保支援士と高度試験の組込み分野について出題構成の変更が公開されました。
今回の変更について、影響のある試験区分とその変更内容について個人的見解をまじえつつ解説します。
公式情報はこちら
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20221220.html
情報処理安全確保支援士(SC)
変更点
変更があるのは午後試験になります。これまで、午後試験は午後Ⅰ(90分)と午後Ⅱ(120分)に分かれていました。
変更後はⅠ、Ⅱの区分がなくなり、統一して午後(150分)になります。
出題数は4問、うち2問解答となります。記述式という点と試験内容(出題範囲)はこれまでと同様です。
新制度への変更は2023年秋季試験(10月)からとなる予定です。
今回の変更について
午後はすべて記述式という点はこれまで同様ですが、150分という長時間で4問中2問を解答するという構成になります。
午後Ⅱ試験では2問中1問という形式のため、問題の選択やそもそもの出題内容によっては自分自身の得意分野を生かしきれないという場面も多かったかと思います。
新制度では4問から選択することができますので、選択できる問題が増えたと考えられます。
そのため、一度選択した問題が自分に合わなかったとしても選択できる幅が広がっていますので、試験自体の難易度は若干下がっていると思います。
しかしながら150分という試験時間は高度試験の中でも最長です。何分経過したら取り組む問題を変えるのか、1問終わったら数分だけでもリフレッシュする時間を確保するのかなど時間配分がより重要となるでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)
変更点
エンベデッドシステムスペシャリストの人材像として、企画・要件定義まで領域が広がります。
これまでのESでは、論理回路とか組込み機器などのテクニカル系のみが出題内容でしたが、変更後は企画・要件定義といったストラテジ系も出題範囲になります。
出題範囲の追加によって午後Ⅰ、午後Ⅱ試験の構成が変更となります。
午後Ⅰは90分という時間は変わりませんが、3問中2問選択から2問中1問選択になります。
午後Ⅱも試験時間120分は変わりませんが、なんと論述試験化+企画・要件定義分野の追加となります。
ESの制度変更は2023年秋季(10月)試験からの予定です。
今回の変更について
個人的にはESの難易度激増と考えています。
これまで、各高度試験は主に技術系と戦略・管理系に分かれていましたが、ESはこの両方を問われる試験になるようです。
企画・要件定義分野が問われるのは主に午後Ⅱ試験のようなので、これまで組込み技術を習得されてきた方であれば午後Ⅰまではこれまでの知識で通過できると思います。
しかし、午後Ⅱでは企画・要件定義能力が範囲に入ってくることと、なんと論述試験化されるため組込みの実務経験だけではパスすることは難しいでしょう。
主に問われる知識が広くなったことから、これまでより難しい試験になるのではと思います。新制度での受験を想定するのであれば、今後は戦略系の視野と経験を重ねていく必要があるでしょう。
ITストラテジスト(ST)、システムアーキテクト(SA)
変更点
ITストラテジスト、システムアーキテクトについては、これまで試験範囲に含まれていた組込み系の出題がなくなり、先述のESに集約されます。
試験範囲の縮小に伴い、午後試験で選択可能な出題数が午後Ⅰ、午後Ⅱともに1問削減されます(解答数はこれまでと同じ)。
今回の変更について
純粋な試験範囲の縮小なため、対象領域を絞りやすいという意味では難易度が少し下がったのではないかと思います。
ただし、技術系(組込み)知識で得点を得ることはできなくなりますので、今後は純粋に企画・要件定義能力が重点的に問われることになります。
まとめ(個人の見解)
- 情報処理安全確保支援士(SC):難易度は若干低下、午後は時間配分がより重要に。
- エンベデッドシステムスペシャリスト(ES):企画・要件定義分野に試験範囲拡大+論述試験化で難易度かなり上昇
- ITストラテジスト(ST)、システムアーキテクト(SA):組込み系が試験範囲外となり難易度若干低下
※試験制度については、今後の技術動向や環境変化等を踏まえて適宜改訂を行うとのことです。