Cisco Catalystスイッチのデフォルトゲートウェイ設定
今回の記事は初めてCisco Catalystスイッチを設定する方向けの記事です。
私自身、Catalystのデフォルトルート設定をしたときに少しハマりましたので備忘録もかねて記事にしました。
デフォルトゲートウェイとは
既にご存じかもしれませんが、そもそもデフォルトゲートウェイとはパケットが正しく目的地に配送されるための目印です。
例えば電車に乗ってどこかへ行くことを想像したときに、特別な用事が無ければ最寄り駅へ移動するでしょう。
その後、上り線に乗るのか下り線に乗るのか乗り換えるのかは分かりませんが、いずれにしてもまずは最寄り駅に向かいます。
この最寄り駅こそがIP通信におけるデフォルトゲートウェイです。
パケットには『どのIPアドレス宛(目的地)か』という情報はパケットごとに情報を持っています。
しかし『次にどのIPアドレス(経由地)へ行けばいいか』という情報は基本的に持っていません。
その情報はルータやL3スイッチがルーティングテーブルという形で持っています。
しかしルータやL3スイッチも膨大な世の中のすべての経由地情報をもっているわけではないので、”どこに送っていいか分からないときの送り先”を指定します。
これこそがデフォルトゲートウェイであり、ルーティングの基礎的な決まり事です。
経緯
下図のようなネットワークで各ルータにルーティングを設定しました。
意気揚々とping疎通テストをしたところ、どうも疎通がうまく取れない経路があることに気付きました。
すべてのルータに正しくデフォルトゲートウェイと静的ルーティングの設定を流したはずですが、どうにもうまくいきません。
そして各pingテストの結果を眺めていると、どうやらCisco Catalyst 3750のVLAN間ルーティングができてないのでは?という疑問にたどり着き調査を行いました。
赤:ping疎通しない 青:ping疎通する
Catalystのデフォルトゲートウェイ設定
ここから私自身が少しハマったところですが、Catalystのデフォルトゲートウェイ設定にはいくつかの種類とコマンドがあります。
YAMAHA RTXシリーズ等ではそういった経験が無かったので少し躓いてしまいました。
本記事では下記の3種類についてご紹介します。
- ip default-gateway
- ip route 0.0.0.0 0.0.0.0
- ip default-network
ip default-gateway
いかにもデフォルトゲートウェイを設定するためのコマンドですが、そこが落とし穴でした。
このコマンドは”スイッチの初期設定時に別のネットワークからコンソール(telnet)アクセスしたりIOSをTFTP転送するため”の設定です。
一般的なパケットのIPルーティングに使うコマンドではありません!
私はここを勘違いしていて、何度も実行中configを確認しては「おっかしいな~」と頭をかしげていました。
この設定は初期設定時に使うものなので一般的なIPルーティングのデフォルトゲートウェイとしては機能しないのです。
IPルーティング機能を使うには後述のip routeコマンドを投入する必要があります。
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0
VLAN間ルーティングやスタティックルーティングを行う場合はこちらのデフォルトゲートウェイ設定をする必要があります。
コマンド投入は簡単で下記のようにグローバルコンフィギュレーションモードに入って設定します。
ip routingコマンドでIPルーティング機能を有効にしておかないと機能しないのでご注意ください。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.1.1
このコマンドを投入することで無事、ping疎通に成功し正常にパケットがルーティングされるようになりました。
ip default-network
今回のネットワーク構成でこのデフォルトゲートウェイコマンドが関係することはありません。
このコマンドが有効となるのは動的ルーティングであるRIPやEIGRPを使用しているときです。
自ルータだけでなく隣接ルータに対してデフォルトゲートウェイを設定する際に使用します。